


唯一無二のセレクション
Sélection indépendante et singulière
Trailer
Lineup

カンヌ映画祭には世界の映画の潮流が凝縮されていますが、とりわけ先鋭的な映画作家の紹介を標ぼうする「監督週間」部門は刺激に満ちています。フェミニズム、格差、独裁、戦争当事国の苦しみ等、重要な主題が、スタイリッシュなアート系はもちろん、コメディからホラー風味まで、実に多様な物語やスタイルで語られます。日本人最年少選出作とメガヒット作という記録的な2本の日本映画も選出され、記念すべきエディションとなった「監督週間」のエッセンスをお楽しみください!
紹介文執筆:矢田部吉彦
オープニング上映
The President's Cake
プレジデンツ・ケーキ
2025年|102分|イラク、アメリカ、カタール
日本配給:松竹
Hasan Hadi
ハサン・ハディ
CAST バニーン・アフマド・ナイエフ、サジャード・モハマド・カーセム、ワヒード・サーベト・フライバト、ラヒーム・アルハジ

© 2025 TPC Film LLC All Rights Reserved.
フセイン独裁政権下のイラク。国連の経済制裁により生活が逼迫する中、国民は大統領の誕生日を祝わねばならない。学校から祝典用ケーキの調達担当に指名された少女は、祖母とともに市場に出かけるが、はぐれてしまう。不条理な生活を強いられたイラク市民の生活を、健気な少女の姿を通じて素朴かつ力強く描き、カンヌ映画祭の全部門を通じて決められる「新人監督賞(カメラ・ドール)」を受賞。
12/12 fri.
18:00 *イベント
Brand New Landscape
見はらし世代 ※英語字幕版
2025年|115分|日本
日本配給:シグロ
Yuiga Danzuka
団塚唯我
CAST 黒崎煌代、遠藤憲一、井川遥、木竜麻生

Ⓒ 2025 シグロ / レプロエンタテインメント
自分たちを捨てた父親を許せるだろうかー。母の死に続き、仕事を優先する父にも去られた姉と弟が、成人後に改めて父親と向き合う。普遍的な家族の風景から、父が手掛ける都市の再開発がもたらす影響まで、幅広い視点を含み、リアルとファンタジーが交差する独特の世界観をシャープな映像美で描いてみせる団塚監督は、日本人史上最年少となる26歳でカンヌ国際映画祭「監督週間」選出となった。
12/13 sat.
14:00 *イベント
12/20 sat.
14:00 *イベント
Her Will Be Done
ハー・ウィル・ビー・ダン
2025年|95分|フランス、ポーランド
Julia Kowalski
ジュリア・コワルスキー
CAST マリア・ヴルーベル、ロクサーヌ・メスキダ、ジャン=バティスト・デュラン、ラファエル・ティエリー

© Grande Ourse Films, Venin Films
畜産業の実家を手伝う若い女性のナヴォイカは、亡き母と同様に、体内に悪魔がいると自覚している。ナヴォイカの欲望の高まりとともに、悪魔が破壊的な力を彼女にもたらす。村を離れていた奔放な女性が隣家に戻って来ると、ナヴォイカの運命が動き出す。フランスにおけるポーランド移民のコミュニティを背景に、エクソシズムとフェミニズムが斬新な融合を見せる新感覚ドラマ。コワルスキー監督長編第2作。
12/20 sat.
12:00
12/22 mon.
18:00
Kokuho
国宝 ※英語字幕版
2025年|175分|日本 <PG12>
日本配給:東宝
Lee Sang-il
李相日
CAST 吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、渡辺謙

Ⓒ 吉田修一/朝日新聞出版 Ⓒ 2025 映画「国宝」製作委員会
任侠の家に生まれたが、女形としての才能を見込まれて歌舞伎役者の名家に引き取られた少年と、その家の跡取り息子の2人が、長年に渡って切磋琢磨しながら芸に人生を捧げていく姿を描く。主演の吉沢亮、共演の横浜流星の迫真の熱演が全世代から圧倒的な支持を受け、日本映画興行の歴史を塗り替えるメガヒットを記録した本作は、世界初上映の場となった「カンヌ監督週間」から快進撃をスタートさせた!
12/16 tue.
12:30
12/18 thu.
18:00
Mirrors No.3
ミラーズ No.3
2025年|86分|ドイツ
Christian Petzold
クリスチャン・ペッツォルト
CAST パウラ・ベーア、バルバラ・アウア、マティアス・ブラント、エンノ・トレプス

© Schramm Film
ベルリンの大学に通う女性のラウラは、田舎での交通事故を奇跡的に回避するがショック状態に陥り、近所に住む主婦のベティの世話になる。ラウラはベティを母のように慕い、ベルリンに戻らずベティの家に留まる。ベティも戸惑いながら受け入れるが…。運命のツィストに翻弄される人々の姿を鮮やかに描くヒューマン・ドラマ。ドイツ映画界を代表する存在のひとり、クリスチャン・ペッツォルト監督最新作。
12/14 sun.
15:30
12/19 fri.
18:00
Peak Everything
ピーク・エヴリシング
2025年|100分|カナダ
Anne Émond
アンヌ・エモン
CAST パトリック・イヴォン、パイパー・ペラーボ、ジル・ルノー、エリザベス・マゲレン、エリック・K・ブリアンヌ

© Metafilms inc
モントリオールでペットホテルを営む48歳の独身男性アダムは、環境破壊の進行による終末を恐れ、不安に苛まされている。オンラインで購入した癒しグッズのカスタマーサービスを心の相談窓口と勘違いして電話してみると、応対した女性に恋してしまう!孤独で不安なアダムの世界は、自然災害を経て不思議な迫力に満ちていく。世界が終わる前に愛を知りたい男性が疾走するアポカリプス・ラブ・ストーリー。
12/21 sun.
12:30
12/24 wed.
18:00
The Girl in the Snow
ガール・イン・ザ・スノウ
2025年|98分|フランス
Louise Hémon
ルイーズ・エモン
CAST ガラテア・ベルージ、マチュー・ルッチ、サミュエル・キルヒャー、オスカー・ポンス

© TakeShelter - Arte France Cinéma
1899年.雪深い山奥の村に、若い女性エメーが教師として着任する。未開に近い村で、エメーは地元の前時代的な風習に抵抗しながら子どもたちに外の世界を教える一方、自らの欲望の高まりを自覚する。やがて、村の青年が失踪する…。冬の山の苛酷な荘厳さを伝える映像美と、女性への抑圧を想起させるメタファーに富んだ、不可思議な魅力を備えた物語。ルイーズ・エモン監督による長編第1作。
12/13 sat.
17:05
12/15 mon.
18:00
The Party's Over!
パーティーズ・オーヴァー!
2025年|95分|フランス
Antony Cordier
アントニー・コルディエ
CAST ローラン・ラフィット、エロディ・ブシェーズ、ラムジー・ベディア、ロール・カラミー、サミ・ウータルバリ、ノエ・アビタ、マヒア・ズルーキ

© Cheyenne Federation
裕福な家族が豪華な別荘で楽しく休暇を過ごしているが、次第に管理人夫婦との関係がぎくしゃくしていく…。格差社会の強者と弱者が、やがて全面戦争に突入する様子を描くダーク・コメディ。目まぐるしい対決は笑いを誘うと同時に残酷であり、フランス社会の本音と建前が露呈する。絶えず形勢の逆転を試みるキャラクターたちを生き生きと演じる、ローラン・ラフィットやロール・カラミーらのスター俳優にも注目。
12/19 fri.
20:00
12/23 tue.
18:00
Wild Foxes
ワイルド・フォクシーズ
2025年|92分|ベルギー、フランス
Valéry Carnoy
ヴァレリー・カルノワ
CAST サミュエル・キルヒャー、ファイサル・アナフルー、ジェフ・ジェイコブス

© HÉLICOTRONC — LES FILMS DU POISSON
全寮制のスポーツ寄宿校でボクシングを専攻するカミーユは、有望選手だったがケガをきっかけに調子を崩し、チームメイトとの関係も悪化していく。しかしその一方でテコンドー選手の女性と知り合う…。豊かな自然の中でスポーツ競技の光と影、そして青春の挫折と輝きがストレートに描かれる。カルノワ監督による長編デビュー作であり、「監督週間」部門でフランス語の作品に与えられるSACD賞を受賞。
12/14 sun.
17:35
12/15 mon.
20:00
監督来日決定
Yes
イエス
2025年|150分|フランス、イスラエル、 キプロス、ドイツ
CAST アリエル・ブロンズ、エフラット・ドール、ナーマ・プライス

© Les Films du Bal, Chi-Fou-Mi
テルアビブで活動するピアニストの男性が、政府から依頼された仕事を前に苦しみ、妻との関係も悪化していく…。ガザを攻撃し続けるイスラエルに暮らすアーティストの苦悩を描き、躁的な乱痴気騒ぎを始め、過剰に偽悪的で自虐的な描写の果てに、絶望的な罪悪感が溢れ出す。国際的存在のナダヴ・ラピド監督の新作は、10.7以降にイスラエルの監督が内面の苦しみと政府批判を世界で発表した稀有な例となっている。
Nadav Lapid
ナダヴ・ラピド
12/16 tue.
18:30 *イベント
12/17 wed.
17:00 *イベント
Sorry, Baby
ソーリー、ベイビー(原題)
2025年|103分|アメリカ
Eva Victor
エヴァ・ヴィクター
CAST エヴァ・ヴィクター、ナオミ・アッキー、ルイス・キャンセルミ、ケリー・マコーマック、ルーカス・ヘッジズ、ジョン・キャロル・リンチ

© 2025 PROJECT ALPHA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
アメリカ北東部、ニューイングランドの大学で文学者を志すアグネスが、親友との深い絆を大切にしながら、人生を揺るがす難事に対峙していく物語。暖かくユーモラスな空気と、最悪の事態を迎えるビターな要素が巧みにブレンドされ、省略を効かせた静かな演出とスタイリッシュな映像のセンスが光る。本作が長編第1作となるエヴァ・ヴィクター監督が主演も務めている。サンダンス映画祭脚本賞受賞。
12/21 sun.
14:45
12/25 thu.
18:00
特別上映
The Tale of The Princess Kaguya
かぐや姫の物語 ※英語字幕版
2013年|137分|日本
日本配給:東宝
Isao Takahata
高畑勲
声の出演 朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子

© 2013 Isao Takahata, Riko Sakaguchi/Studio Ghibli, NDHDMTK
都のはずれの里山に、働き者の翁と媼が暮らしていた。ある日、竹林を訪れた翁は、光る不思議な竹に気づき、近づくと竹の子の中から小さな可愛らしい女の子が現われた。女の子を連れ帰った翁は自分たちの子として大切に育てる。女の子は村の子どもたちと元気に遊び回るうちに、みるみる美しい娘へと成長する。驚いた翁は娘を姫に相応しい女性に育てるために都へ居を移し、教育を受けさせる。そして「かぐや姫」として都中の評判になるのだった。姫の美しさを聞きつけた5人の求婚者が現われる。姫は彼らに婚姻の条件として難題を課すのだが…。
Message
今年10月から、ヨーロッパで初めてとなる高畑勲監督の展覧会がフランス・パリで開催されており、それに合わせてフランス過去最大規模となる高畑勲監督特集上映や有識者による講演会なども行われています。フランスがようやく彼の全作品を知る機会となりました!この機会に、日本のアニメーションを心より歓迎している「監督週間」として、私自身のお気に入りの映画の一つとして、本作を紹介できることに喜びを感じています。
カンヌ国際映画祭「監督週間」
アーティスティック・ディレクター
ジュリアン・レジ












